がらくたとまがい物と
九月ですね。少し涼しくなってきて快適です。
まだ生きていました税込みです。
最近彼氏が転職活動中です。
大変なときにこそ助け合うのがカップルなのでしょうね。うん、きっとそうなのでしょう。
昔、父や母が風邪で寝込んでいると、壊れた人形が横たわっているようにしか見えませんでした。どうしても人間として認識できなかったのです。そんな私に、母はいつも「あなたは人の心がわからない、人間じゃない」って言ってたっけ。それもあながち間違いではなかったのかもしれないな、なんて最近思います。
彼氏は営業の仕事をしながら、休日に植物の栽培実験をしています。いずれはその実験をビジネス化することが目標だそうで。
ただ、本業の方で営業のみならずさまざまな仕事を振られることになった結果、キャパオーバーし→残業がかさみ→そこから精神を病み→精神科医に薬をもらい→精神病院に通院することに。
さらに精神科にお世話になることを知った上司からは発達障害の疑いまでかけられ…。
私が付き合い始めた頃は、彼は精神科にお世話になる前でした。
〜付き合う前〜
彼「秋には学生時代の親友たちとスペイン、フランス、ドイツを巡る旅行に行くんだ。もう随分前から計画していて、チケットもとってある。楽しみだ」
私「社会人になっても、友人を大切にしたり、海外の文化に触れたりするのは素敵だね」
〜付き合い始めてしばらくして〜
彼「仕事がきついしつまらなくてメンタルがやばい。だから精神科に通うことにしたんだ」
私「え?そ、そうなんだ…早くよくなるといいね」
〜数週間後〜
彼「毎週末いっしょにいられて、ずいぶん症状もよくなってきた!もらっていた薬ももう飲んでないよ^^安心して」
私「よかったね(精神的な病気は完治まで時間がかかると思うんだけど…。独断で薬をやめてよいのかな?)」
〜さらに一週間後〜
彼「仕事でミスを連発するから、上司から発達障害を疑われてる。精神的に回復が必要だって判断から、二週間自宅療養するように命令された。旅行はキャンセル。」
私「ええ…大変だね(回復したとか言ってた矢先に…。友人との約束はパーか…)」
〜さらに一週間後〜
彼「今日から二週間休みだ!よし転職活動しよう」
私「療養が先じゃないの?」
彼「今いる会社は大手だし安定してるけど、仕事にまったくやりがいがないし、残業は多いし、なにより学ぶものがない。ストレスが多い。だからまとまった時間ができた今転職活動する」
私「そっか…。次はどのあたりのところを目指すの?」
彼「営業か、エンジニアになろうと思う」
私「!?」
〜彼の転職ビジョン〜
私「営業かエンジニアかって、だいぶ違うと思うんだけど…」
彼「営業はもともと嫌いじゃないし、エンジニアはやったことないけど大学時代にコード書いてたからできる」
私「…?結局やりたいのはどっちなの?」
彼「本当にやりたいというか、僕に向いているのは企画職なんだけど、なにかしらの専門がないと企画にはなれないからね。まずは手に職をつけようと思って」
私「営業で手に職?」
彼「ほら、栽培実験をいずれはビジネス化したいっていっていただろ。あれをビジネス化させるときに、プログラミングができるか、もしくは自分で営業ができれば有利だと思うんだ」
私「栽培実験がビジネス化できるまであとどれくらいかかりそうなの?」
彼「うーん。6、7年とかかな」
私「…」
彼「で、税込。どっちがいいと思う?」
私「え…?自分で決めないの」
彼「意見をもらおうと思って」
私「うーん…。正直、優先順位がわからないな。栽培実験を成功させるのが目的なんだよね。じゃあ、ある意味『サブ』である次の仕事には何を重視するの?」
彼「残業が少なくて、給料がそこそこあって、未経験でも大丈夫で、手に職がついて、ストレスが少なくて、やりがいがある仕事」
私「」
そんなのないと思うんですよ。
冗談じゃないとしたら、見通しが甘すぎるんじゃないかと。
何かを優先させたいなら、何かは犠牲にしなければならない。
もし自分の中で「なにも犠牲にせずに全てがうまく行っている」としても、そのぶん誰かの人生を犠牲にしていると思うのです。
支えようと思えないんです。
軸が見えないんです。
別に転職することが悪いとは思いません。
一時的に収入が下がることもあると思います。
やりたいことのために、新しい一歩を踏み出すことは否定しません。
でも、圧倒的に、説得力が足りない。
やっぱり私はクズなのでしょう。愛のない冷たい人間なのかもしれませんね。
信用できないな、なんて思い始めてしまっている。
そして、もうそれでもいいかとも、思い始めている。
ぶっちゃけクズでもいいと思うんです。
私なりに譲れない信念はある。多少の良心も持ち合わせているつもりです。
その信条に則って、私なりの精一杯でいきようとしているわけです。
それ以上、人にどうして「あげよう」なんて、驕りです。
そこまで私に求めるのなら、そうしないと生きられないというのなら、その弱さを恥じて死んでくれ。
なぜ手を差し伸べなかったのかと、もっと尽くさなかったのかと、この人でなしと責められるなら、受け入れようと思うんです。
何を勘違いしているのかと。生来クズなんですよ、私は。
そして、クズな私は確信しているんです。誰彼構わず弱みを見せる人間は、散々人を巻き込みますが、自殺することはない人種だと。