むかしむかしの今の話
むかしむかしの話を聞くたび、いつも思っていたんです。
なぜ人は歴史から学ばないのか。
なぜ人は似た過ちを繰り返すのか。
でも、今、当事者になって思う。
なにも変えられやしない。
大きな渦に飲まれて、それが過ちだと気づく頃には、取り返しがつかないところまで流されている。結局のところ人間誰しも、三年後よりも三日先が大切なんです。三百年後なんて知ったことじゃない。
選ばないという選択をしているんだ。でもそれは、馬鹿だからじゃなくて。行くところまで行ったら、死んでもいいと、どこかで思っているから。
死に物狂いで守るほどの命じゃないんだよ。
おそらくまた、歴史は繰り返す。
ゆっくりと傾いた皿が、ひっくり返るのは一瞬。でもそれは蓄積の結果であり、つまるところ皆の総意だ。
その時になったら、血にまみれて、あるいは熱に融かされて、何を思うのだろう。あの時ああしていたなら、もっとこうしていたなら。そんなふうに過ぎ去った今を悔いるのだろうか。