合わせ鏡
「君は私の若い頃に似ている」
ある人が、しきりにそう言ってくる。
そうなのかもしれないな、と思う人だ。
家庭環境。考え方。性格。いくつもの点が似ている。
話を聞いていると、苦しくなるんだ。
わかるはずもない痛みにわかった気がして、胸が痛くなる。
どうしようもないことがあったこと。
心が壊れたこと。
それでも生きようとしていること。
もがいていること。
八方塞がりだ。
でも前を向いて進んでるあなたは、素直に魅力的だと思う。
私よりうまく「ごまかしてきた」と思う。
私よりデキもいいし、明らかに賢い。
でも、でも。
そうやって誰かと似ているとか、そういうの私はもういい。
私は少し、気のせいかもしれないけれど、変わった気がするんだ。
もう、取り繕うのはやめた。
プライドだとか、見栄だとか、そういったものを全部捨てられた。
私なりに正面からぶつかって、自分で壊したから。
自分の足で生きたいと願って、一歩自分で踏み出したから。
いろいろなことがシンプルになってきた。
回り道をしているかもしれない。
自分の向いている道かなんてわからない。
でも、自分の足で生きている今のほうが、ずっと前より生きていると思う。
合わせ鏡を壊したい。
ここからだ。