税込39円のうちわけ〜アダルトチルドレンの克服日記〜

20代のひとりっ子アダルトチルドレンが、過去を振り返ったり、今を綴ったりします。

名前が覚えられない

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一月ほど前からシェアハウスに住んでいる。

70人ほどが暮らすシェアハウス。一見、アスペ気味でアダルトチルドレン、協調性皆無の私がここで住むのは自殺行為だ。

 

でも、じつは思ってたよりは順調?だったりする。

 

私は人との距離感が掴めない。遠慮の仕方がわからない。だから初対面の会話を怖がることがない。(相手が目上でも緊張は全くしないし、敬う気持ちがないからまぁ失礼な奴だ)

それがうまいこと回るパターンだと、なんとなくぬるっと輪に入れる。

これだけ人がいると、各個人と遭遇する頻度は低い。「人が居る環境」の隅っこに居る、という状況が作りやすい。

のちのち深く知り合うと上手くいかなくなるんだけどね。

 

はじめましてから一ヶ月経って、ゴールデンウィークを迎えるころに露呈する問題がある。

私は1人もフルネームを覚えていない。

苗字を覚えたのも…4人だ。

人と目を合わせるのが苦手で、なんとか声や仕草で個人が判別はできるものの、名前は本当にむずかしい。

覚えようという意欲もあまりないが、意識しなければ自然に覚えることはほぼない。他人への興味が少ないのかもしれない。

 

リビングで、いろんな人が話してる時、気分は猫。

居るだけ。ざわざわした空気感を髭で感じて、ごろごろする。

その距離感がいいんだ。

こりゃ覚えられそうにないわ。

奴隷船の乗り心地

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真綿が敷き詰められた奴隷船、あるいはサーカスの綱渡り。

 

奴隷船で死ぬことはないけれど、少しずつ足が腐ってゆく。

うっかりではない。

実のところ、強引に、かつ意図的に奴隷船から抜け出した。

 

はじめて地に足がついたようで、ざらざらとした感覚が気持ち悪い。

責任だとか、義務だとか、権利だとか、どーでもいい。

公共の福祉なんて知ったことじゃない。

初めての感覚なんだ。

まだよくわからないんだ。

ただ一つ確実に言える。もうあの船には乗らない。

 

足は腐ってないか?

頭はどうだ?

走るとはどんな感覚だろう。

 

物心ついた時から、蜘蛛の糸の上を綱渡りしているみたいだった。

いつぷつりと切れるのか。

落ちたらどうなるのか。

…どこまで落ちるのか。

全てが不安だった。

 

ここが落ちた底なら、なんだ、奴隷船よりマシじゃないか。

 

「奴隷船の乗り心地は酷いものだったよ」

そういってケロリと、笑える人になりたい。

毒になる親

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超有名なアダルトチルドレン御用達の本。

 

今まであえて読まないでいた本を読んだ。

正直、新鮮さはなかった。ほとんど「自覚」していることだったから。

 

経済的に親から離れた今なら、向き合って、変われるんじゃないかと思った。

でも、なにも変わらない。

仕事は理不尽で満ちていて、三年も続く気がしない。

三年後にどうなるアテもない。

 

色々と環境を変えて、変わろうとしているんだけど、難しい。

 

親と対決なんてできやしない。

最近、知り合いばかりが「かさんで」いる気がする。

親しい人なんてそうそうできない。

 

集団の中の私は、一人一人にとっては単なる背景でしかない。

居なくなってもいいなって思う。

居ない方が良いのかなとも思う。和を乱してしまうから。

そう思うと、どんどん居場所がなくなっていく。

 

自分が存在する根拠を、他人に求めようとするから。

いつも苦しくなる。

 

無能な狂人に価値はない。

狂人は治りそうにないから、なにか一芸でも身につけなきゃ生きていけそうにない。

しかし一芸を身につけられる自信もない。

 

だれか、無条件に私を愛してくれないかな。

他人から愛されることで、存在することを許されようとする。

結局私は、一ミリも前に進めていない。

 

やりきれない。

可愛いふりしてあの子

まあ、かわいくもないんですけど!

 

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当たり障りのない関係のあの人が、突然

「あなた、見かけに反してけっこうエグいもの抱えているのね」

なんて言うから。ドキドキして一日中落ち着かなかった。

 

何がバレたんだろう?

何も言っていないはずだけど。どこまで知っている?

 

いっそ全部暴いて欲しい。

狂気や殺意の底の底まで見えたなら、なんて言うかな。

 

「なんだ、たいしたことないじゃない」

なんて言うのかな。

 

知られることは怖くない。

逃げ出されたら嫌だけど。

 

ね、どこまで知りたいのかな。

黒鴉の墓守ラウラ

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“白の墓廟には黒い悪魔が棲み着いている”

 

かつて、栄華を極めた「白鴉の帝国」。

いまや国は滅び、帝国の威厳は地に落ちた。

されど私があの人との約束を忘れた日はない。

 

あの日承けた使命。

復活の時まで、あと281年と9ヶ月。

ペンタブレット

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昔、高校に上がりたての頃の話。

 

ペンタブレット」というものに、私は昔から憧れがあった。

機械好きということもあり、昔お絵描きが好きだったということもある。

 

ともかく貯めたお小遣いでペンタブレットを買おうとした。

 

私の家では、お小遣いの使い道は親に許可を頂かなければならなかった。

「すみません、ペンタブレットというものを買いたいのですが、買わせていただいてもよろしいでしょうか?」

タイミングを見計らって恐る恐る父にお願いし、なんとか電気屋でタブレットを選ぶことになった。

電気屋にいくと、いくつかのタブレットが並んでいた。どうやら同包されているソフトがモノによって違うらしい。

フォトショエレメンツが付いてくるやつと、コミスタ(だったきがする)が付いてくるやつがあった。

私はコミスタの付いた箱に手を伸ばした。

アートよりもアニメっぽいものの方が好きだったからだ。

 

後ろで父が、ため息を付いた。

「お前が描きたいのって、そんな(くだらない)モンなんだ?」

ため息をつきながら、嫌悪感を浮かべた顔で父は言った。

 

ステラレタクナイ

 

「…ごめんなさい間違えました」

血の気が引いた。

サッと箱を戻し、フォトショのついたアーティスティックな箱をとった。

 

「ふうん」

「すみませんでした」

 

私はアニメも漫画もこわくなった。描くことはもっと怖くなった。

 

物心ついた時、私と目を合わさない父を見て、この人に捨てられたら生きていけないんだなと思った。

この人に嫌われたら、殺されるんだなと思った。

小さい時から、父にとっての「いい子」であることが、生きていくための条件だと思っていた。

父の機嫌を損ねてしまった日は、今日眠ったら、寝ているうちに刺されるかもなと怯えていた。

寝ている父を見て、なんなら殺される前に殺してしまおうかとさえ思った。

 

私の基準は、親にとって良い子であるかどうか、だったと思う。

捨てられたら、

今日親が帰ってこなかったら、

寝ている間に首を絞められたら?

 

きっといつも、怖かったんだと思う

 

データ引き継ぎ

今の私のスペックをすべて引き継いで、ここから人生を始めたい人はいるのかな。

 

今までの記憶、繋がり、容姿、年齢、性別、病気。

 

いるんだろうな。

気の持ちようだとか、恵まれているとか言うんだろう。

 

世界のどこかじゃ化学兵器がばらまかれて、バタバタ人が死んでるらしい。

私と画面越しの彼ら、何が違うんだろう。

どっちが生きているべきだった?

私が生きる方が、人類の未来にとって有益?

そんなこともないよね。

 

単なる偶然で割り切れないけど、

死んだ人の未来なんて背負えないよ。

自分ひとりの未来も背負えないのにさ。