辛かった過去なんて
誰にでもあるものだって、わかっているけれど。
生まれた場所も、生きてきた道も違うのだから、痛みはそれぞれだ。
平凡な人生がつらかった、なんて人もいるのだろう。
それも一つの痛み。
誰も人の痛みを否定することはできない。
相手の痛みを受け止めないくせに、自分の痛みだけ押し付けようなんて勝手だね。
カミソリみたいに尖っていて、それでいてガラスのように脆いひと。
優しくしようとしているのはわかっているけれど、その裏に自己中心的な価値観が見え隠れしている。
無理のある優しさを振りまく本当の気持ちは。
いつも一人で冷静を装っているけど、本当の気持ちは?
どこかで、痛みを感じとっていたんだ。
この感覚は、父に似ている。
過去の愛を渇望している。
与えることを知らないひと。
この人の側にいたら、また少しずつ私が食べられてしまう。
ちいさなかけらになって、また見失ってしまう。
あなたには、私の過去は渡さない。
だから、あなたの過去も背負えないや。