税込39円のうちわけ〜アダルトチルドレンの克服日記〜

20代のひとりっ子アダルトチルドレンが、過去を振り返ったり、今を綴ったりします。

夜間飛行

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深夜の飛行機に乗って、ジョグジャカルタの街を後にした。眼下には極彩色の夜景が広がる。

 

大通りを行き交う車が連なり、脈を打つ。大通りは動脈。毛細血管が無数に広がり、街は静かに息づいている。

信長や秀吉、家康さえ夢想だにしなかった世界に、私はなんの苦労もなく至った。

 

「夜間飛行だね」

 

呟くように話しかけると、友はにやりと笑った。

きっとこの視点は、人よりも神に近い。私は神を知らない。それでも私は、間違いなく何者かに「生かされて」ここにいる。

地上数百メートルから見下ろせば、人の姿など虫のさざめきに過ぎぬ。愛し合おうが、殺し合おうが、たいした問題ではないのだ。

 

同じ時代に生まれた、私よりもはるかに有能な人間が、若い人間が、何人も死んでいく。世界は徹頭徹尾、不平等だ。有能な人間が早死にしたところで、それすらこの視点から見るならば「たいしたことはない」のだろう。

 

無数に蠢く生命体の、そのいくつかが世界を繋げるならば、それで未来は繋がってゆく。そんな存在に化ける一抹の、ほんのわずかな期待と見込みのもと、私は今日も生かされたのだ。