絶対エアコン使わないマンとアトピー・ぜんそくっ子の相性は最悪【冬編】
私の両親はエアコンを使わない主義の人たちでした。
というよりも、自分自身が必要だと思わないものは買わない主義の人たちでした。
「だって私は寒くないもん。」
母がよく言っていました。
そりゃそうです。彼女の部屋だけにはガスストーブが設置されており、常に暖かさが保たれていましたから。
でも、リビングには足元用電気ストーブが一つだけ。(彼女の足元を温めるためのものです)いつも室温は10度を下回っていました。もちろん加湿器などありません。
リビングですらそんな状態ですから、子供部屋にストーブなど買い与えるはずもなく。小遣いで買った小さなストーブの前で、コートを着込んで震えていました。
寒さと乾燥で、いつも喉が痛く、肌はあちこちが赤切れに。私は風邪をひくとすぐに喘息を引き起こしたり、鼻炎から気管支炎になってしまいます。 冬の喘息発作はなかなか大変です。なんとか呼吸をしようとしても、乾いた空気でまた咳き込んでしまいます。
乾燥してアトピー肌全身が痒かったり、かと思えばひび割れているところは痛かったり。ひび割れて血が滲んだ手と、傷だらけの身体と、咳が止まらない気管支。酸欠でやまない頭痛。辛かったんですねえ。
そんな状態で、家に一人ぼっち、母の帰りを待っている。
風の音か、自分の胸の音かわからない雑音が続いて、永遠とも感じられる時間がただゆっくりと流れていきます。
そしてある年、ついに私はやってしまいました。
風邪をこじらせて、肺炎になってしまいました。年末に高熱を出し、病院に運ばれる私。その場で入院が決まり、2週間ほど病院にいました。その時出されたご飯が毎日美味しくて、ちょっと幸せだったことを覚えています。
退院して家に帰ると、私の部屋には加湿器がありました。
お医者さんに注意されたのだそうです。あんたがひ弱だからよ、と睨まれたのを覚えています。
きっと私が死んだら、あの部屋にはエアコンが付いたんだろうなあ、なんて思っています。
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自分が感じない、他人の痛みを思うことって難しいですよね。
どんなに頑張っても、その人と痛みを分かち合うことなんてできないですし、「人の痛みがわかる」なんてことは、実際はありえないことなのだと思います。
それでも、人の痛みを思える人でいたいなあ。